私の回りには関西出身(特に大阪出身)のハイパフォーマーが多い。偶然だと思っていたが、職場を変えても、取引先を見てみてもその認識は変わらなかった。
なぜなのか、独断だがその理由を考えてみた。
私の周りの大阪出身者の特徴としては、
1.妙に馴れ馴れしく初対面でも心理的距離を気にしない
2.どんな話にもオチを求める
3.値引き交渉をコミュニケーションと考えている
4.方言を多用する
5.実家に帰ると「魂を売った」といじられる
他にもあるが主に5つの特徴を持つ。
この5つの特徴が実はビジネスでハイパフォーマンスを出す上で大切な要素になっているのではないかと思う。その理由を解説してみる。
1.妙に馴れ馴れしく初対面でも心理的距離を気にしない
初対面の相手に対して誰もが少なからず緊張する。それが関東の人たちでは当然の認識だと思う(もちろん例外は居るけど)。しかし、私の見てきた関西人の多くはこの初対面の人への距離の詰め方がうまい。うまいというかほとんど意識せずに詰めてしまっている。
初対面時の距離の詰め方がうまいということは、例えば営業ならその分だけライバル(競合)よりも一歩早く提案の機会を獲得することもあるだろう。時にうざがられる事もあるが、この特徴は彼らをハイパフォーマーに仕立てる重要な特徴と言える。
2.どんな話にもオチを求める
彼らは日常会話であってもオチを求めてくる。だれかがダラダラ話し込んでいると「で、オチはなに?」とオチの無い話なんてこの世に存在しないと言わんばかりの純粋無垢なひとみでみつめてくる。彼らにとってオチこそ会話のゴールなのだ。
この特徴は、会話を通して場をなごませる。なんて抽象的な効果だけではなく、結論から話す。MECEに考えるといったビジネス会話に置いて重要なロジカルシンキングのトレーニングにもなる。そう彼らは生まれながらに会話にオチを求める文化圏の中で、ロジカルシンキングのトレーニングをして来ているのだ。
新入社員の多くがつまづくロジカルシンキングを生まれながらのトレーニングで一月早くクリアすれば、それだけライバル(同僚)に差を付けられる。そうして彼らはハイパフォーマーへと成長する。
3.値引き交渉をコミュニケーションと考えている
関西人と仕事をすると「いくらかまけて」と言われる事が多い。頑なに値引きを断ると100万円の商品であっても「1,000円でもいいからまけて」ともはや値引き額ではなく「値引きされること」が目的になることも多い。
そう、彼らは値引き交渉をあいさつと同じように当たり前のコミュニケーションと捉えている。ビジネスにおいて、この値引交渉と言うのは最もカンタンにバリューを発揮できるチャンスだ。その行為をあいさつ代わりにできる彼らと対等に戦うには相当な訓練が必要になる。
4.方言を多用する
彼らは自分の方言をなかなか標準語に直そうとはしない。
自分の言葉に自信をもち、他の地方出身者が方言を隠して江戸っ子のように振る舞う様子をみて「なんでなん?」とまたまた純粋無垢なひとみで見つめてくる。
単なる方言と言ってしまえばそうだが、自分の出所に自信を持つことは自分の人生に自信を持つことにつながる。さらに、方言を隠さない彼らの話し方は同じ地方出身者をみつけだす誘い水にもなる。取引先が同じ地方出身者だった場合に一気に距離が近づく感覚を覚えた方も多いだろう。
彼らにとって方言は自分のアイデンティティであり、同じ地方出身者を見つけ出す磁石でもあるのだ。
5.実家に帰ると「魂を売った」といじられる
一見ビジネスに何の関係もないこの事実だが、そんなことはない。
共に東京で働く同僚目線では「魂を売った」と言われる彼らを見ていて、魂を売っている感覚は微塵も感じない。方言を直すこともなく、むしろ自身の故郷に自信を持って暮らしているように感じる。
しかし、実際彼らと大阪へ行き、彼らの友人と話してみるとだいぶ東京の人間と話しやすいように合わせているんだな。ということはヒシヒシとかんじる。彼らは関西人でありながら関東人との共生のために進化した人たちなのだ。
そんなハイパフォーマーな彼らも「魂を売った」と地元でいじられる事で、自分の原点を振り返り、自分の言動を見つめなおす良いきっかけを定期的に手に入れている。
現状の自分におごることなく更なる高みを目指すきっかけとなっているのだ。恐るべし関西人ハイパフォーマー。ここに書いたのは彼らの生態のほんの一部だ。また、同じ関西出身であっても性格が異なる人もいる。
私はこれからも彼らの生態を研究し、組織開発やチーム作りに彼らの生態をどう生かしていくか研究していきたいと思う。