5月12日発表されたサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会に臨む日本代表メンバーで最も“サプライズ”と言えるのは、FW大久保嘉人の招集だ。
ほぼ固定メンバーでワールドカップ予選を戦い抜いて来た日本代表が、ここに来て32歳のベテラン選手を招集した事はチームに良くも悪くも大きな影響を及ぼす。
今の日本代表チームの状態をビジネスに例えてみよう。
◼︎ベンチャー企業A社に現れたビジネスマン
都内の某ベンチャー企業A社社長、山本は悩んでいた。
業績の伸びに、社員の成長が追いつかず、営業、マーケティング、人事などの各部署で無理が生じ始めていた。
会議では、
「一週間以内に○○します」
「来週までには××を達成できます」
などの報告がされるものの翌週には、
「できませんでしたすみません」
と言う報告が並ぶ。
このままではいつまでたっても未来が見えない
頭を悩ませた山本は、外資系コンサルティングファームで働く後輩を口説き落とし、執行役員として入社させた。
◼︎突然現れたハードマネージャー
上記の例は私の知る、あるベンチャー企業の実例だ。
このあとコンサルティングファームから来た執行役員と、既存社員の間では毎日業績や課題についての激しい議論が行われることになる。
この例の様に後から入ったコンサルタント出身者の強みは、
1.客観的な視点
2.ロジカルな情報整理スキル
3.明確な意思決定
上記の3つがあげられる。
コンサルタントの例に限らず、転職経験者なら誰でも
「あれ?この会社のここは、おかしいな」
「なぜ今だにこんな非効率なやり方してるのかな?」
などと感じたことはあるだろう。
A社に現れたコンサル出身者はその疑問を一つ一つ見過ごさず、丁寧に原因を追求して行った。
結果、ブラックボックス化されていた業務の問題点の多くが洗い出され、業務効率は格段に改善された。
人事異動も多数行われ、現場でくすぶっていた人材が幹部に抜擢されるなど、これまで以上に風通しも良くなった。
一方で、元からいた執行役員や幹部クラス数名が会社を去ることになった。
自分のやり方と合わない
と言うのが彼らの主張だった。
ではこの会社は結果としてよくなったのか?
答えはYesでありNOだ
その後、社長と意見衝突した元コンサルタントは簡単に退社してしまう。
かじ取り役を急に失い一次混乱したA社だが、残った部長クラスが中心となって持ち直した。
日本代表に招集された大久保嘉人選手が、A社に現れたコンサルタントの様な存在とは思わない。
ただ一つ言えるのは、
すでにできあがっている組織に、
リーダークラスの人間を迎えいれるのには十分な注意が必要だ。
ブラジル入りした日本代表は卓球台で遊ぶなど雰囲気良く過ごしているらしいので、あまり心配要らないかもしれない。
大久保嘉人のサプライズ招集は、
一人の人事担当として、今回のワールドカップ日本代表の成績はフィールド内だけでなく、フィールド外の状況も気になる大会となった。